ハイビジョン映像信号用 ビデオラインセレクタ (Menu Page)

 ハイビジョン映像信号用 ビデオラインセレクタ


■ はじめに・・・


▲ テスト中の試作機[拡大写真]
最近では、中級以上のオシロスコープを購入すると、映像信号走査線の特定ラインに一発でアクセスできる機能を持ったものも 多いようだ。 映像信号をいぢくって色々な工作 をしようとすると、 既存の信号を解析してお手本とする ことが最も早道でもある。 そんなとき、 自分の見たい走査線がすぐに呼び出せると、ものすごくありがたい。

話は変わるが、最近左下の写真のようなモノを購入して PCに取り付けてみた。
巷では、TVのディジタル化やハイビジョン化も進行中で、これらの映像をPCで好き放題編集できれば、これほど シアワセなことはないのだが、やはりというか、そうは問屋が卸さない・・・ と。 ディジタル放送は、好き勝手に PCに取り込んでさわれないよう、ちゃんと ガードがかけられている のでありました。 はい (^^;


▲ そのテの用途には一応×の HDRECS
そこで今回の製作ネタであるが、ハイビジョン信号に対応したビデオラインセレクタを製作することにした。
このテの特殊な信号は、画面の表示範囲外の フツーのTVでは見えない 走査線に 格納されているらしいのだが、たまたま私の持っているオシロスコープの機能が中途半端で、特定の走査線に絞り込んで 波形観測することが困難なため、「うまく観ることができないなら、観れるようにしてしまえ」 と、衝動的に作り始めてしまったのが実際のところだ。

あと、そのテの信号を観測して はい終わり では面白くないので、今後ハイビジョン映像信号を いぢくる際 (マジメな意味でネ) に役立つよう、ラインロックしたドットクロックを生成するための回路や、オンスクリーンディスプレイなど、 少し冗長と思われる機能将来の自分への投資 と 自分自身をオーバードライブしつつ取り入れてみた。
ちなみに、そのテの信号を除去してしまいたいという願望をお持ちの方も多いと思うが、最近はそういうことが目的の 装置を作ったり売ったりすると、臭い飯を食わされることもあると聞いている。 私としても、そのような機能は「想定外」なので、 もし読者の方で、そういう機能をご希望の方があったとしても、くれぐれも私にリクエストなどされないよう、 あらかじめお断りしておきたい。


▲ レンタルのHDDレコーダー[拡大写真]
ちなみに、信号をいぢりたい (もとい、観測したい) 場合の リファレンス となる地デジチューナーだが、新たに購入するとなると、単機能のモノでも そこそこ のお値段である。
ハイビジョンハンディカム HDR-HC3も手元にあるので、それでもテスト自体は可能 (但しそのテの信号は観測できない) なのだが、今回は地元 CATV会社オススメの HDDレコーダー “楽録りコース” を申し込んでみた。 Panasonic製ダブルチューナー内蔵のディジタルSTBで、HDDの容量は250GBとあまり大きくはないが、初期投資は限りなく 0円に近く、毎月 1,050円レンタル料を取られることを考えても 自前で買うよりはるかにお得 なように思う。
もちろん、今使っている 32型液晶TVにも地デジチューナーは入っているし、LAN HDDにも録画できるような機能も 備わっていたりするのだが、「外部に信号を取り出して観測してみよう」 という用途は想定外のようで、 全く応用は利かない。 やはり、外部に地デジチューナーや HDDレコーダーが必要 だ。

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■ ラインセレクタに盛り込む機能は・・・


基本的には、ビデオ信号の垂直同期信号起点で走査線をカウントし、表示したい走査線がきたところで オシロスコープにトリガをかける ための 測定器 である。 フツーに作れば、2行程度のキャラクタ表示ができる液晶表示器に DIPスイッチかロータリースイッチが 付いて、あとは制御用としてワンチップマイコンがあれば実現できるはずだ。

これは余談だが、ビデオ入力端子につながっているライン(線)のことを “ビデオライン” と呼ぶ人がそこそこいるようで、 ビデオラインセレクタ のことを ビデオ入力切り替え機 と思っている人もいるはずだ。 このテの 思い込み は恥ずかしいことなので、混同しないように注意しよう・・・

話を元に戻そう。
しかし・・・ フツーに作っただけでは、ハイビジョン信号対応にしてみたところで、測定が終わればそれで用済みだ。 私としても、 あまり面白くないので、とりあえずこんな感じの仕様を考えてみた。

  • 映像信号のフォーマットは、とりあえず 1080/59.94iのみとする。
    720Pなど、他のフォーマットは後日必要になってからということで・・・

  • 入力端子は、手頃な D端子を取り付けておく。
    ピンジャック×3よりも、D端子の方が場所取らないので (^^;

  • 映像信号がスルー出力できるよう、バッファアンプと出力用 D端子も付ける。
    別のビデオアンプと取り替えてアンプの評価もできるよう、分離できる構造を考える。

  • 将来ハイビジョン信号を扱う機器を作る際の布石となるハード構成にする。
    ラインロックしたドットクロック生成回路を試してみる。
    任意の画像を合成表示するための実験が可能になるよう、クランプ回路やデータセレクタなど、一通りの回路を付けておく。

  • コントローラーには、広く市販されている一般的なワンチップマイコンを使用する。
    とりあえず、今回は 8BitのPICマイコンで行ってみるつもり。

  • 設定内容は、スルー出力する映像に重ねて、オンスクリーンディスプレイで表示する。
    先ほどの、クランプ回路やデータセレクタなどを活用して実現。 OSD表示の色も好きな色に調整できると良いネ。
我ながら欲張った仕様ですナ (^^;
要は、作った後で 色々な実験のベースに使えるようなハード にしたいだけなのだが、 ちゃんとできあがるんだろうか・・・

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■ 製作過程・・・


それでは、早速作業を進めていきたいと思う。
今回は、ハードとソフト両面での作業が必要なのだが、ソフト面の解説を詳細に記すとどうしても長くなってしまうため、 ハード中心の解説とさせていただくことを、あらかじめご了承いただきたい。

とりあえず、こんな感じで・・・

* お し な が き *
 
ロジック回路ブロックについて
 ハード面から、ロジック回路ブロックについて一通り説明 (2007/10/14)
アナログ回路ブロックについて
 ハード面から、アナログ回路ブロックについて一通り説明 (2007/10/28)
色々なハイビジョン信号を測定してみる
 測定ができるようになったら、早速そのテの信号を観測しよう (2007/11/11)
電源回路の作成
 -5Vが必要な回路に +5Vから変換できる回路を作成しよう (2007/12/16)
シャーシーに取り付ける・完成
 各ブロックをまとめて金属製シャーシーに取り付け、完成させる (2008/02/03)


とりあえず、今回はこれだけネ (^^;
将来的にコレをベースに何か作ったり、改造することがあれば、また追記して行きたいと思う。

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■ 資料はこちら・・・


参照の便を図るため資料をまとめておくが、各セクションの説明中にも回路図等資料へのリンクがあるので、できるだけ 順を追って説明に目を通していただきたいと思う。

2007/10/08 Yutaka Kyotani (暫定公開)
2007/10/14 Yutaka Kyotani (ロジック回路ブロックについて 〜 追記)
2007/10/28 Yutaka Kyotani (アナログ回路ブロックについて 〜 追記)
2007/11/11 Yutaka Kyotani (色々なハイビジョン信号を測定してみる 〜 追記)
2007/12/16 Yutaka Kyotani (電源回路の作成 〜 追記)
2008/02/03 Yutaka Kyotani (シャーシーに取り付ける・完成 〜 追記、正式公開)

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