XRGB-1の改造ポイント (Page 1 / 5)
■ XRGB-1の改造ポイント・・・
前の項目で発覚した問題点に対して、どのような方法で対応するか検討し、実際に回路を考えてみよう。 最初は XRGB-1単体で行えるものから検討して行くことにする。
1.まずは改造ポイントその1・・・
前の項目で4つほど出た問題のうち、少し大きめの追加回路が必要になりそうなものとして、
入力信号が途切れると、クロック発振用 PLLのロックが外れて極端な周波数になり、液晶の走査が止まる。
・・・という問題について、最初に対応を考えてみることにする。
・ ・ ・ ・
■ 現状の回路について
最初に XRGB-1内部での同期信号の流れを調査してブロック図にまとめてみた。
実際の動作に関係が薄いと思われる部分は省略あるいは簡略化してあるが、まずは下の図をご覧いただきたい。
同期信号のモトである映像信号が最初に到達するのは、SONYの CXA1585QというICだ。 このIC内部で水平垂直が混合された状態の同期信号が分離され、74HC14によって波形整形された後、 CRによる積分回路で周波数分離によって垂直同期信号が取り出される。 これはさらに 74HC221による ワンショットマルチでパルス幅を調整され、75Ωの抵抗と電源スイッチを兼ねたパソコンからの信号との 切り替えスイッチを通って CRTコネクタに出力されている。
一方、波形整形された同期信号は、途中から分岐してワンショットマルチ 74HC221に加えられ、水平同期信号だけが抜き出された状態となる。
元々映像信号から分離されたばかりの同期信号には、水平同期信号の他、垂直同期やその前後にインターレースを安定に行うための
等価パルス
が加えられている。 これらは PLLの位相比較を乱す原因になるので取り除かなくてはならない。 ここで、等価パルスは水平同期の倍の周波数、即ち半分の周期ということになるが、トリガをかけるワンショットマルチの時定数を
水平同期の周期より短く、等価パルスの周期よりも長く
設定しておくことにより、次の等価パルスがきても無視されてしまうので結果的に等価パルスは出てこれなくなってしまうことになる。
結局は、負論理の CSYNCをワンショットマルチに入力し、立ち下がりエッジを用いてトリガをかけることで 水平同期信号のみが分離され、PLLの位相比較用として使われることになる。
これは余談だが、ワンショットマルチには、パルス出力中に再びトリガがかかった場合、無視するタイプと その時点からまた規定時間分のパルスを出力(延長)するタイプがある。 ここでは前者の無視してくれるタイプでないと 所定の動作は望めないことになる。 よく使われる 74HC123は
リトリガブルワンショット
と呼ばれ、後者のタイプだ。
さて、ここで入力信号が途切れた場合の症状を考えてみると、垂直同期信号は全く出力されなくなってしまうことが読みとれる。
水平同期信号も、PLLの位相比較に使われる信号がなくなってしまうため、PLLはロックが外れて とんでもない周波数で発振してしまうというのも当然な話だ (^^;;
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■ 追加する回路について
まず垂直側の対策だが、パルス幅調整が終わった出力直前の箇所を切断し、ここに NE555による無安定発振回路を挿入して 元々の垂直同期信号で外部同期をかけることにする(黄色の AとB)。
続いて水平側だが、PLLの入力直前の回路を同様に切断し(水色の CとD)、外部同期がかけられる発振回路を挿入することにする。 こちらはクロックを発振する PLLの基準周波数源ともなるものなので、本来はセラロックを使った AFC付き同期分離 ICなど、安定性の高い回路を起用したいところだ。 ま、今回は他に手が掛かりそうな箇所が多いので、簡略化の意味を込めて こちらも NE555による無安定発振回路で試してみることにした。 まだ水平側に使った実績がないので、トラブルが出ないことを祈ろう (^^;;
これらの対策のための追加回路を図にしてみるとこんな感じになる。
尚、PLLの位相比較用として加えられている信号はワンショットマルチを通ったばかりでパルス幅が広いのと、 論理が立ち上がりエッジ基準のため、CRによる微分回路と 74HC14による反転回路を追加している。 また、 NE555の入力につながっている抵抗が 390Ωと垂直側よりも小さくしてあるのは、同期がかかる範囲を 周波数が高くなる方向に少し広くしたかったという意味がある。
この追加回路部分の入出力としては、先ほどのポイント A〜Dの他、電源とGNDの接続が必要だ。 また、液晶パネルに加える 垂直同期信号も配線の都合上ここから取るのが良さそうなので、接続ポイント [LCDVS] を併せて記している。
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■ 信号線の引き出しポイント
先ほどの信号引き出しポイントを基板のイメージに重ねてみると、こんな感じになる。 尚、イメージは左回転させて パネル正面が右を向いている状態で図示している。
引き出しポイント 6ヶ所以外にパターンカットが 2ヶ所存在するので、慎重に位置を確認して欲しい。 また、 垂直同期信号を本来の回路に戻すための [B]ポイントのみ、少し離れた場所に存在するので注意しよう。
↑信号引き出しポイント
← [B]ポイントはこちら
・[A]〜[B]間のカット
U7(74HC74)の左下、R72の直下をくぐって下方向に伸びて R76(75Ω)に至るパターンを、R72の少し下でカットする。
・[C]〜[D]間のカット
U5(74HC4046)の左側、C77の直下をくぐってすぐ直角に下方向へ伸び、R92の直下をくぐるパターン。 これを、 「U5」のシルク印刷がある辺りでカットする。
・[A]の信号引き出し(垂直同期信号を得る)
U6(74HC221)上段の Pin12(/2Q)にリード線をハンダ付けする。
・[B]の信号引き出し(垂直同期信号を戻す)
電源スイッチのパネルから遠い方に R76(75Ω)があり、片側はスイッチにつながっている。 反対側は先ほど [A]〜[B]間をカットしたパターンなので、こちら(写真では左側)にリード線をハンダ付けする。
・[C]の信号引き出し(水平同期信号を得る)
U6(74HC221)上段の Pin13(1Q)にリード線をハンダ付けする。
・[D]の信号引き出し(水平同期信号を戻す)
U5(74HC4046)上段の Pin14(SIG in)にリード線をハンダ付けする。
・[Vcc] [GND]の信号引き出し
U24(74HC00)上段の Pin14(Vcc)および、下段の Pin7(GND)にリード線をハンダ付けする。
※パターンカットは場所を間違えると悲惨なことになるので、くれぐれもご注意を (^^;;
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