パチンコ台中古モニタ活用術「CRどろろん忍者くん」編


■CRどろろん忍者くん(大一商会)
液晶パネルCITIZEN製 5'Wide STN USC-500
主要処理 IC不詳
入力信号RGB(Hi-Z), Sync(Hi-Z), 電源(5V, 9V)
本体改造信号線直接引き出し x9
追加回路78M05, LM1881N, その他周辺部品
お勧め度★☆☆☆☆
購入店・時期等デジット 1999年秋頃(2500円)
他の同系機種ケロケロジャンプ・CR大リーガー
備考Syncは正論理ロジックレベル。
電源は映像系5Vとバックライト用9Vが必要。
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実験をされる前に 注意書き をお読み下さい。

■このモニタの特徴・・・

5インチワイド STN液晶パネルを使用したモニタである。
裏蓋は樹脂製で、隅にあるネジ1本とツメ3ヶ所で固定されているだけなので、比較的簡単に 取り外して分離することができる。 ケース内部にはインテリジェント構成の「絵柄処理基板」が ネジ止めされており、その下側に液晶パネルを制御するための映像系回路を収めた基板が装着されている。 両者はそれぞれ基板装着型の 18ピンのコネクタで接合されている。
通常のモニタとして利用する場合、上段の「絵柄処理基板」は不要になってしまう。 ケース内部はかなり余裕がありそうなので、この基板を取り外したあとに、RGBデコーダーやオーディオアンプ、 スピーカーなどを組み込むことができそうである。

右の写真(左側)は主要構成部品を取り外して並べたもの。 下が絵柄処理基板で CPUは HD64180ZFS8、他に 60E5405F12と書かれた画像コントローラー、絵柄の格納された ROMなどが載っている。 例によって画像調節用の VRもこちらに取り付けられているため、絵柄処理基板を取り外した場合は これに代わる VRを別につないでやる必要がある。
真ん中に写っているのが映像系回路を収めた基板。 基板の裏側には部品はなく、液晶パネルに伸びる 超幅広サイズのフィルム状ケーブルが直接半田付けされている。 一方基板の表側は、シールドケースで すっぽりと覆われており、何かおいしい部品が隠されているのかと思って裸に剥いてみた(写真右側)が、 QFPの変なLSIが付いていた以外は至ってノーマルであった (^^;;
最後にバックライト。 インバーター部分を含めたユニットとして構成されており、液晶パネルに取り付けられている。 電源も絵柄処理基板にある 2Pのコネクタから供給するようになっており、映像処理系とは電源は別系統となっている。


■回路について・・・

購入の際付いてきた資料は、B5版1枚にまとめられた「ビデオ信号を映そう」というタイトルのもの。 内容は、ワンダーキット製 RGBデコーダーとトランジスタ4石 (RGB 3回路では当然 12石!!)によるビデオアンプの解説。 端子図と同期信号反転用に使う 74HC04の解説等が書かれていた。
このビデオアンプ、最近デジットで購入するモニタ付属の資料にしつこく登場するが、 誰かこの通りに作ってみた人はいるのだろうか・・・

さて、絵柄処理基板からの信号経路をざっと調査したのが右の図だ。
画像コントローラーの出力は、7.5K・15K・30K・30Kx2の抵抗により D/A変換され、+5V・GNDそれぞれから接続された 30Kx2の抵抗と共にバッファ用 TRに加えられて、その結果が出力ピンに出ている。 とりあえず、4Bitのデジタル信号を重み付けによりアナログに変換し、レベル調整とバッファリングのあと 出力されている。 D/A変換用の抵抗は、他機種でいい加減な値が使われているのを見かけたことがあるが、 この機種はまともな値かつ高精度(数値4桁で表現)が使われており、きちんとトランジスタによるバッファも ついている(笑)。


■付加回路は・・・

最初の時点でわかっていることは、
1.映像系回路の電源は 5Vである。
2.同期信号は一般的な負論理ではなく、ロジックレベルで反転して(正論理)供給する必要がある。
3.バックライトの電源は、別に 9V(6〜12Vとか書いてあって結構曖昧!)が必要。
4.画像調節用の VRを外付けする必要がある。
  これだけ書くと、結構色々と手を加えてやる必要がありそう・・・ (^^;;

幸い秋月の RGBデコーダーには同期信号の反転出力が出ており、電源もどこからか調達できそうなレベルなので、 とりあえずつないで動作確認の後、詳細を決定したのが下の図だ。 主な項目を上の番号と対比させるとこんな感じになる。
1.12Vから 5Vにドロップさせるための三端子レギュレーター 78M05。
2.同期分離 IC・LM1881Nと、反転回路 2SA1015。
3.12Vから 9Vにドロップさせるためのダイオード 10D-1 x4。
4.画像調節用 50KΩ VR。

ちなみに、基板についているコネクタが「基板直付け」でかなり小さいものなので、無理にこのコネクタを利用して結線する ことは得策ではないようだ。 コネクタのすぐ横にテストポイント用と思われるランドが整然と並んでいるので、 ここに直接リード線を半田付けしてしまおう。 右の写真に信号線のコメントも書き添えておいたので確認して欲しい。

映像信号のレベルとしては、絵柄処理基板内の回路を見る限り「少し高め」という予想だが、実際に映してみた感じでは 終端用の抵抗なしでは明らかにレベルオーバー、75Ωで終端すると少しコントラストが弱めという結果だった。 本来は 75Ωで終端するのが理想だが、ビデオアンプを付けるまでの必要性も感じられないので、とりあえず終端用の 抵抗を大きめの値(150Ω)に設定して対応してみた。 信号を出す側のインピーダンスが 75Ωだとすると、終端を 75→150Ωに変更すると 3割増しとなるはずだ。
同期信号は正論理で供給するため「反転回路」を設けるが、どうやら波形が鈍っていると同期が乱れる場合があるようだ。 トランジスタで反転する(これは秋月の RGBコンバータにも言えることだが)場合は、ベースに挿入する抵抗に スピードアップ用として適当なコンデンサをパラっておくことをお勧めする。
バックライト用電源の方は、6〜12Vという曖昧な範囲が店頭に書いてあったが、6Vでは明らかに暗すぎる。 12Vではちょっと明るすぎるかなという感じなので、無難に 9Vということに決定。 本心は 12Vの方が楽ではあるが・・・ (^^;; ちなみに、電流の方は 200mA強必要だ。
先ほども書いたように、同期分離・反転回路や電源回路は、秋月の RGBデコーダーを組み合わせるということに 限定すれば省略できるものなので、このあたりは状況に応じて選択して欲しい。 回路図中にもコメントを入れておいたのでご参考に。



映り具合の方はこんな感じ。 何と言っても STNなので、過度の期待は禁物だ。
画面が 5インチワイドということで、一般的な 4インチのものに比べて多少横に伸びて表示される感じがする。 動きのある映像は多少尾を引いて残像が残るような感じがするので、シューティングゲームなんかはちょっとつらいかも知れない。 静止画は比較的きれいに表示されるが、明るい部分が多いと周囲に影が出たり、暗い部分が完全に黒くならずにうっすらと白くなるなど、 STN特有の画質という感じがする。
どちらにしても、TFT液晶のくっきりとした画像を見慣れた方には少々物足りないかも知れない。

実は、このモニタのレポートを書いている最中、秋月電子に注文していた「RGBデコーダーVer2」が届いた。 色々見ていると、資料の中にこのモニタそっくりのソケットの写真が・・・
どうやら、秋月で販売している「ワイド 5.4インチカラー液晶 RGBモニタユニット(新品 \2400)」と モニタ部は同じもののような感じだ。 但し秋月のものは新品だがモニタ部のみで裏ブタなしとのこと。
ちなみに RGBデコーダーVer2の説明書によると、映像信号はパッファアンプなしの出力からモニタに直接接続 (1.5Vpp)となっていた。 このモニタと同一だとすると、ちょっとコントラストが強すぎるかも知れない。


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