MTHDD25に3.5インチハードディスクを接続する (Page 1 / 1)

 MTHDD25に3.5インチハードディスクを接続する


■ はじめに・・・


MultiR HDD (および MTPlayer MP20HDD) には、2.5インチハードディスクケース MTHDD25が付属している。
購入したままでは内部にドライブは内蔵されていないので、まっとうな使用法としては、まず手近な 2.5インチ大容量ドライブを取り付けることから 始めなければならない。

本来は 60GBとか 80GBとかの 2.5インチ大容量ドライブが最初から用意できれば良いのだが、本体を買っただけで資金が苦しい方も そこそこおられるのではないだろうか。 「3.5インチドライブなら余分があるのにねぇ〜」という嘆きの声もチラホラ・・・ と (^^;
ということで、このページでは、比較的どこの家庭にも転がっていそうな 3.5インチドライブを代わりに接続し、MultiR HDD (および MTPlayer MP20HDD) 用として使えるようにする実験をしてみたいと思う。

※一般的に 3.5インチドライブは 2.5インチドライブよりも耐衝撃性が劣るため、車載には適しません。

・  ・  ・  ・

■ 接続方法について検討する・・・

それでは早速接続方法について検討しよう。
パソコンパーツ店などを覗いていると、店頭に 2.5インチ→3.5インチ変換ケーブルなるものが売られていることがある。 これは デスクトップ PCの内蔵 3.5インチドライブの代わりに 2.5インチドライブを取り付けるためのもので、ノート PCのドライブを 交換した際などに、デスクトップ PCを介して内容を移行するために使うのが主目的のようだ。
インターフェース的に見れば 2.5インチも 3.5インチも同じ IDEなので、バスライン上の信号は同じもので大丈夫なハズである。 あとは外形などの違いを どう吸収するかを考えれば良い・・・ と思うのだが、実際はどうだろうか。
このあたりを実際に製作しながら確認していきたいと思う。

まず、両者の相違点だが、

これらの違いから、3.5インチドライブを使うためには、信号コネクタの変換と 12V電源の追加 をしなければならないことが判る。 とりあえずは手近な 12VのACアダプター (2A以上のスイッチングタイプ) をあてがってやることにしよう。
その他、別電源とするための配慮として、本体電源 ON/OFFで別付けの 12V電源を制御するための回路も追加してやることにする。

これは余談だが、ノートPCの内蔵ドライブの代わりに 3.5インチドライブを取り付けるためのキットもあってしかるべきと思うのだが、 残念ながら私自身は見たことがない。 12V電源を外付けしないといけないのでコストが上がることや、元々の内蔵ドライブの 配線を引き出すのが大変という事情はあるのだろうが、真相は如何に・・・。

・  ・  ・  ・

■ まずは第一ステップ・・・

まずは、MTHDD25のケースに入っているインターフェース基板を取り出してみよう。
その後、本来取り付けられる 2.5インチドライブの代わりに 3.5インチドライブ接続用のリード線を引き出すための検討を行うことにする。

色々考えた結果、高さ方向に長いのは邪魔なので、金鋸で「バッサリ」余分を切り落としてやった。
※MTHDD25は単体でも購入できるので、実際に 2.5インチドライブを使う時はまた考えることにしよう (^^;

▲ 買ってきた状態のMTHDD25
▲ 金鋸でバッサリ!

・  ・  ・  ・

■ 回路について・・・

前述の通り、IDEの信号ラインはそのまま直結としている。 2.5インチのディスクは 3.5インチのディスクよりも 4本ピンが多く、合計44Pinとなっているが、その内訳は 5V電源とGND各2本である。
今回は 5V電源はそのままもらうことにし、3.5インチ側の電源コネクタに直接結線するほか、外部から供給する 12V電源の ON/OFFコントロールにも使用している。

ということで、早速回路図と基板内部の製作例をどうぞ・・・

▲ 回路図
基板ウラ
基板オモテ

追加した 12V電源の ON/OFF制御回路だが、スイッチング素子には東芝の Pch MOSFET 2SJ377を使ってみた。 最大ドレイン電流は DCで5A、パルスで20A、オン抵抗も VGS=10V時に最大0.19Ωとまずまずの性能で、入手性も比較的良いようだ。
Pch FETなのでソースは入力電源直結となり、ゲート電圧が電源と同電位でOFF、0Vで ONに制御される。 これを 5V電源の ON/OFFから制御するために一段 NPNトランジスタによる反転回路を入れ、論理と電圧レベルを合わせている。

尚、今回は基板をMTHDDのケース内に組み込む関係で実装スペースがあまり取れないので、このあたりの回路も効率的に組まなければ ならない。
基板そのものは元々付いている 2.5インチハードディスクの代わりに取り付けるので、2.0mmピッチのユニバーサル基板(サンハヤトのICB-013など) をカットして使い、2.0mm 44Pinのピンヘッダを取り付けることが必須だ。 その裏面から、3.5インチハードディスク用のフラットケーブルを長さを微調整しながら 順に配線しておけばOKだ。
論理反転に使っているトランジスタも本来は何でも良いのだが、一般的な 2SC1815などでは外形が苦しいため、今回は小型の 2SC1740Sを使っている。 それ以外にも、抵抗も小型のものを使わないと配置が苦しくなるので注意しよう。

▲ 基板とフラットケーブルを接続[拡大写真]
▲ 基板をMTHDDのケースにセット[拡大写真]

フラットケーブルと電源コネクタを接続したのが左上の写真。 すでにケーブルを結束してあるが、これは動作確認が 終わってからのほうが良いだろう。

これを MTHDDのケースにセットしてみたのが右上の写真だ。 ケースの後面(向かって下側)は、フラットケーブルを引き出すため 2〜3mm程度ケースを削り、元々付いていたフタを取り付けられるようにしておく。
サイドにはケースの爪を引っかける穴も必要になるので、忘れないうちに現物合わせで加工しておこう。

・  ・  ・  ・

■ 3.5インチハードディスクを入れるケース・・・

さて、このテの工作でいつも悩むのがケースだったりする。 個人的には出来るだけ見栄え良く、しかも小型に作りたい訳で、 大抵はパーツ店のケースコーナーの前でため息をつく現実が待っている。

今回はハードディスクユニットがそこそこ発熱することがわかっているので、プラスチックケースの使用は控えたいところだ。 で、 アルミケースで適当なモノを・・・ と探してみたが、やはり芳しくない。 大阪日本橋のデジットで、テイシンの TC-114なるケース (W128×D170×H29) を見付けたのだが、たまたま在庫がなかったため、やはりというか・・・ ケースも自作となってしまった (^^;
ということで、幅30mmのコの字型アングルとパンチングメタルを組み合わせ、ケースの主要部分を構成している。

▲ ハードディスクとケースの部材[拡大写真]
▲ ケースを組み立てたところ

左上の写真をご覧いただければ、ケースの構造についてはわかっていただけると思う。
外周はコの字型アングルを使い、重なる部分を切り取ってまとめている。 要は、パンチングメタルの底板と天板を 四隅からコの字型アングルで囲み、ネジ止めして固定するようなイメージになる。
配線の引き出し口は、大きめのゴムブッシュを取り付けて、金属の断面が直接線材に当たらないよう加工しよう。

右上の写真は天板も取り付けてネジ止めしたところだ。
今回のような構造では、実はネジをどのように受けるかがポイントになったりする。 当然のことながら内側からナットで止めるのは 物理的に不可能だ (^^;
目を付けたのは、基板などの小物部品を取り付ける時に使う M3のタップが切られた L金具。 これをそのままペンチと万力で (ネジ山を潰さないように) 平らに伸ばして使ってみた。 そのままではネジを緩めると脱落してしまうので、固定用の穴を追加で開けてパンチングメタルと一体化するように ネジ止めしている。 このパンチングメタルをコの字型アングルで囲って外側からネジ止めすればバッチリだ。

・  ・  ・  ・

■ とりあえず PCに接続して使ってみよう・・・

▲ ノートPCに接続して使用中

とりあえずは、完成〜 (^^)

手元にあった Maxtor MX6L080J4と、Hitachi HDS722580VLAT20 (何れも80GB) をノートPCに接続して試してみたが、どちらも正常にアクセス可能だった。

今回は体裁を気にして 3.5インチドライブを格納するケースも製作してみたが、はっきり申し上げて、結構手間だったりする (^^;
とりあえず実験だけならバラックのままでも OKなので、まずは手近なドライブで動作を確認してから考えてみるというのが良いだろう。
尚、アルミケースから外した基板そのままの MTHDD25を MultR HDD本体に差し込むと、防塵用のフタが引っかかって外すのが大変なので注意しよう。

・このページの記載内容について、カノープス株式会社および販売店への問い合わせは絶対にされませんよう、お願い致します。
・改造という行為にはリスクが伴います。 商品の保証やアフターサービスを受けることもできなくなります。
・車載化で増設した機器を運転中に操作することは重大事故の原因になります。 運転装置への干渉も十分な確認が必要です。
・このページの記載内容は、全て自己責任においてのみご利用いただけます。 詳細は こちら をご参照下さい。


2004/07/11 Yutaka Kyotani (公開)

トップメニューへ
MultiR HDD車載化計画メニューへ