液晶自作キット Cシリーズ用書き込み装置(非純正)の製作 (Page 1 / 1) |
液晶自作キット Cシリーズ用書き込み装置(非純正)の製作
■ はじめに・・・
aitendoさんから発売されている液晶自作キットも、早いもので Aシリーズ、Bシリーズと新たなシリーズが追加
され、2005/04下旬には Aシリーズの後継という位置付け(と思われる)の Cシリーズが発売となった。
Aシリーズ全盛期には、標準対応の 800×600(SVGA) ディジタルRGB、1024×768(XGA) LVDSの液晶パネル以外に、
色々な解像度のパネルや、特殊なタイミング信号を要求するパネルに対応するための 専用MCUチップ
が発売されていた。 つまり、制御用に使われているワンチップマイコンのプログラムをその液晶パネル専用に
書き換えたものが売られていて、ボード上のソケットに載っている マイコンチップそのものを差し替えて
対応していたという訳だ。
さて、この Cシリーズ発売とほぼ同じタイミングで、A/Bシリーズ用 MCUライタとブランクの 生MCU
が発売され、その中身のパネル毎に分類された HEXファイル (バイナリデータを16進文字列に変換したもの)
も公開された。 ご自分でお好みのものをどうぞ・・・ ということだろうか。
この MCUライタは、実は USB接続の汎用プログラマであり、\14,800というそこそこのお値段だが、自作キットの
MCU以外にも色々なチップが焼けるようになっている。 私も一台仕入れてあるので、またの機会にでも。
前置きが長くなってしまったが、同時に公開された「Cシリーズ用書き込み装置」は少し毛色が変わった構成のようである。
まず写真を見て目に付くのは RS-232Cのケーブル だ。 そして、基板上には RS-232Cレベルコンバータの
ICとコンデンサがちょろちょろ (^^; いかにも原価安そう・・・ な構成だったりする。
色々とリサーチしていた感触では、液晶自作キットメインボード上の画像コントローラーに搭載されている デバッグポート
を利用して液晶パネル関連のパラメーターを設定変更するというコンセプトのようだ。
公開当初付けられていたお値段は、何と \9,800! いいお値段ですねぇ。 後から \4,800に改訂されたようだが、
自分としては中身がもう判ったも同然なので、とりあえず 作ってみてダメならその時考えよう
ということで自作バージョンをでっち上げてみた。
最初にお断りしておくが、このページでご紹介するのはあくまでも 非純正品 だ。 もし
製作に失敗して書き込みそのものができなかったり、万一再起不能に陥ったりしても誰も責任を取ってくれない。 メリットとデメリットを
しっかり判断し、あくまでも 自己責任 でご利用いただきたい。
もし 余計なトラブルに見舞われることを避けたい なら 純正品
を aitendoさんから購入するようにして欲しい。 また、くれぐれも このページの内容に関して aitendoさんに問い合わせたりしない ように。
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■ RS-232Cのお約束事を知っておく・・・
PCの仕組みに明るい方なら説明の必要はないだろうが、RS-232Cとは
シリアル通信
で相互のデータ通信を行うための規格である。 正確には EIA-232なんたらかんたら・・・ という話になるのだが、
なにぶん古くから使われているため曖昧な部分も多かったりする。 とりあえず必要な部分のみ「さらっ」と行ってみよう。
- データ通信は、スタートビットとストップビットに挟まれたシリアルデータで行われる。
- 送信側と受信側で通信速度(ビットレート)を合わせないと、通信が成立しない。
- データ通信の論理レベルは、[1]がマイナス、[0]がプラス方向の高電圧(一般的に±9〜12V程度)伝送。
- データ通信と別に、ハンドシェイク(フロー制御)を行うための信号線が用意されている。
- 元々はモデム装置などの制御用に使用するため 25Pinコネクタが使用され、多くの制御信号が割り当て
されていたが、最近の PCでは不要と思われる信号を取り除いた 9Pinコネクタが一般的に使用されている。
- データおよびハンドシェイクは通信方向が決まっており、出力同士、入力同士を繋いでも通信できない。
- 接続ケーブルは、↑と関連して、ストレートとクロス結線の区別がある。
こんなところだろうか。
今回は、シリアルデータの生成に関して我々が関知する必要はない。 ハード的には RS-232Cインターフェース専用の
ICが出ているので、その ICを間に挟むだけで論理レベルの整合が保たれる。 あとは、それぞれの入力→出力がきちんと
繋がるように注意することと、ハンドシェイク用ラインの処理位かと思われる。
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■ 回路について・・・
まずは Cシリーズのメインボードを観察し、書き込み装置を接続するコネクタ (CN6付近)を確認しよう。
C-100Kの基板には、信号名 5V RXD TXD GND がそれぞれ シルク印刷
されているので、まずはこれを目安に検討開始することにする。 念のためテスターで、電源電圧とロジックレベルを当たっておこう。 今回は、
電源電圧が 5V、TXDには 3.3V、RXDに 5Vがかかっているのが確認できた。 おそらく、信号のロジックレベルは
3.3Vなのだが、入力は 5Vトレラントで VCCへのプルアップが入っているものと思われる。
また、信号ラインは送受信と電源、GNDしかないため、フロー制御なしの垂れ流しか、ソフトウェアハンドシェイクで
通信しているということになる。 従って、PC側から見てハンドシェイクが常に成立するよう、これらのライン RTS〜CTS、DTR〜DSRは
そのまま PC側へ折り返しておく のが正解だ。
但し、このハンドシェイク用ラインの処理を行わなかった場合、一般的なターミナルソフトでは通信できないものの、
専用書き込みソフトでどうなるかの確認は行っていない。
実際の回路はこんな感じになった。
電源電圧が 5Vかつ送受信各 1回路ということで、一般的な RS-232Cインターフェース用 ICが使用できる。 しかし、これらの
ICは、最高通信速度や通信用内部電源の外付けコンデンサの指定が品種によって違っているので、別のもので代用する場合は
事前にデータシートを確認しておいて欲しい。 ここでは、内部電源の外付けコンデンサ容量が小さくて済み、最高通信速度も速い MAXIMの
MAX232ACPE を使用した。 送受信回路が各 2回路の構成だが、今回は
1回路のみ使用することになる。
ちなみに、データ通信速度は 115200bpsの設定にすることになっていることと、外付けコンデンサが 0.1μFではダメ
な ICもあるので要注意だ。
ハンドシェイクの処理については、前述の通りである。
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■ 早速製作してみよう・・・
回路そのものは簡単なので、慣れている方ならものの 30分もあれば組み立て完了だろう。
D-SUBコネクタは、一般的にユニバーサル基板のピッチとは一致しないので実装に一工夫必要だが、今回はパネル取り付け用の
半田付けタイプコネクタの端子部でそのまま基板を挟み込んで固定している。 あとは位置を微調整して半田付けで固定すればOK。 銅箔の
裏面だけでは強度的に問題がありそうなので、部品面からもスズメッキ線等で固定できるように配置しよう。
液晶自作キットのメインボード側コネクタは、大半が PHコネクタの互換品(2.0mmピッチ)、XHコネクタの互換品(2.5mmピッチ)
なのだが、書き込み装置を接続する CN6は 2.5mmピッチのピンヘッダが立ててあるだけだった。 今回は、中古パチンコ台の
ランプサブ基板への結線に使われていた適当なコネクタを再利用してみた。 ピッチさえ合えば大抵どんなコネクタでも
OKのようだが、逆刺しにはくれぐれもご注意を。
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■ 動作の方はこれで一通りOKだ・・・
とりあえず、これで動作の方は OKだ。
早速 VGA液晶用のパラメータを書き込んで、NL6448BC20-08を動作させてみた。
液晶自作キット付属のインバータは 1灯用なので、パネルに装着されているバックライトは片側しか接続していなかったりと
テキトーな実験環境だが、何卒ご了承の程を (^^;
書き込みツールの使い方等の詳細はここでは触れないこととさせていただくが、設定されるパラメータは
完全にテキストファイルで書かれているようである。 色々とそれらしいコメントも付いていたりするので、
設定値を変えてやれば色々な解像度の液晶パネルにも対応できるかも知れない。
何れにしても試行錯誤が必要かも知れないが、今後も機会があれば色々トライしてみたいと思う次第だ。
・ このページでご紹介している書き込み装置は、あくまでも非純正品です。
・ 製作失敗に起因する書き込み不良、液晶自作キットメインボードや液晶パネル破損等が発生した場合でも、一切責任は負いません。
・ ご利用は自己責任でお願い致します。 もし余計なトラブルに見舞われることを避けたい場合は、純正品をお求め下さい。
・ このページの記載内容に関して、有限会社愛天堂への問い合わせはされませんよう、お願い致します。
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2005/07/12 Yutaka Kyotani (公開)