(*^-^)ジャンク>東芝社6インチTFT液晶[TFD60W20MS]応用の巻 (1 / 2)

 TFD60W20MSの応用をまぢめに検討・・・


■ 例によって aitendo's電子工房の特売品を購入したのだが・・・



▲ 実験中の様子[拡大写真]
2009/02月上旬、Aitendo's電子工房のページを巡回していた際、適当〜に思いついて買い物かごに放り込んだアイテムの一つ だったりする。 とりあえず、購入当時900円(後日300円に値下げされたようだが)という価格につられて買ってみたものの、解析する暇はないし、 資料もろくにないし・・・ で、立ち上がりはめちゃくちゃスローだったというのが第一印象だ。

結果を先に出してしまうと、問題なくRGBモニタとして応用可能 なのだが、このモニタが要求する 信号が 一般常識からすると変な構成 になっているため、応用は比較的手がかかる部類に入る。

ではでは、早速本題に入ることにしよう・・・
このユニットを購入した際、24Pinのフィルムケーブル (おそらく元のユニットで使われていたものか)が付属してきたが、 このままでは取り回しが良くないので、まずはユニットを分解し、必要な信号線のみを引き出すことが可能か と、内部構造の調査 なども行っておきたいと思う。


▲ ユニットウラ側を見る[拡大写真]
▲ 配線はこんな感じに[拡大写真]


左上は、ユニットを裏側から見たもの。 そして、フタを開けて配線したのが右上。
フィルムケーブルの相手側は RGBコンバータ V1.2などにも装着されているのだが、残念ながらコネクタの配列が異なるので 無理に使おうとするのは得策ではない。 幸い、検査治具のプローブを当てるためのランドやテストポイント、チップ部品の 端子など、リード線が引き出せそうなポイントもあったため、解析も兼ねてコネクタに出ている信号線を追いかけて個別に引き出してみた。

回路も比較的ブロックごとにまとめて配置されているようなので、重要なところとそうでないところ を考慮しつつ見ていきたいと思う。

・  ・  ・  ・

■ 回路調査&応用準備などなど・・・


素性の判らないユニットを応用する場合、事前に全ての回路を調べて回路図を起こしておくことが望ましいのだが、調査にかけることの できる時間は限られているので、あまり重要でない箇所があるのなら、極力省いて行く方が効率が良い。
とりあえず、今回はこんな感じで・・・
  • バックライトインバータ
    もし「明るさ制御」を追加する必要がないなら、スルーしてしまっても良いだろう。
    車載にしたい場合は、電源の安定化が必要かどうかの見極めをしなければならないので、フィードバック制御有無程度の調査は必要。

  • 電源回路
    5V電源の出ている場所が判っている程度でOK。 詳しく調べる必要はない。

  • 映像処理回路
    映像処理IC→液晶パネル周辺は調査不要。 ブラックボックスとして扱うのが吉。
    入力コネクタ→ICの入力ピンへの接続を重点的に調査する。
    その他、半固定抵抗が接続されている ICのピンを調べ、「VRx→PinX」という対応なども調べておけば便利。
ということで、例によって手書きで恐縮だが、調査した回路図はこちら。
今回は、バックライトインバータの回路も回路図に含めてある。 車載対応にするかどうかは、まだ考えていないが・・・


▲ TFD60W20MS映像基板抜粋版回路図


回路を調べた際の感触だが、どうやらアミューズメント用(パチンコ用)として作られたユニットと思われ、画像コントローラーなどから出力される RGB信号の表示に特化しているような印象を受ける。

5〜6インチの小型液晶パネルは、TFT専用アナログRGB信号 を要求するものがほとんどのため、 このユニットでも ガンマ処理極性反転 などを行うための 専用 IC NJW1300Aが使用されている。 この NJW1300Aは RGB二系統の入力と、NTSCまたは PALのコンポジット映像信号の復調、 同期分離 (32fHセラロック使用の VCOとカウントダウン回路による高安定型)などの機能を持っている。 しかし、ざっと調べた限りでは RGB映像信号のみ が処理対象となっているようで、コンポジットビデオ関連の回路は使われておらず、 部品も搭載されていない。 また、同期処理関連回路も、分離された同期信号はこの IC内部で使われているのみで、外部の回路には 接続されていない状態だ。

その他特徴的なパーツとしては、パネルへと接続されるコネクタ 2つに囲まれた空間に、東芝らしからぬロゴの入った IC NMP45と、 直近には コアが調整できる構造のコイル L001が実装されている。 そのそばにある D001は、 多分 バリキャップ なんだろうな・・・ という雰囲気。 同期信号などを元に パネルを動作させるためのクロックを作ったり、走査タイミングを司る回路に間違いないだろう。
これは余談だが、過去に分解経験がある同社のパネル TFD40W11-Bでは、パネルのフレーム枠部分に似たような回路が作り込まれているのを 見た記憶がある。


▲ 配線引き出し 〜その1〜[拡大写真]


回路の調査結果を元に、引き出した信号線ごとにコメントを記しておこう。
それと、コネクタ CN1との対応もね。
  1. 青色リード線 → B1 (CN1 Pin10)
  2. 緑色リード線 → G1 (CN1 Pin9)
  3. 赤色リード線 → R1 (CN1 Pin8)
    R/G/B映像信号入力 1系統。 それぞれ 75Ωの終端抵抗が入れられている。
    各信号線の引き出しは、チップセラコンと 75Ω抵抗の真ん中あたりに検査治具用と思われる丸いランドがあるので、そこから引き出せば 良いだろう。 入力切換が不要な場合、この入力をそのまま RGBコンバータの出力端子に接続すれば OKだ。

  4. 黒色リード線 → GND (CN1 Pin6ほか)
    配線のハンダ付け箇所が隠れてしまっているが、R212(75Ω)の向かって下側端子に接続。
    一列にチップ抵抗がずらっと並んでいるので、接続しやすい抵抗の GND側に直接接続すれば良いだろう。

  5. 橙色リード線 → RGBSW (CN1 Pin18)
    画像処理 IC NJW1300Aへの経路が、この端子のみ抵抗 (R245)になっており、見分けは付きやすいと思う。 Logic Lで入力 1、Hで入力 2に切り替わる。 この配線も、 検査治具用ランドに接続。
    本来は、2系統ある入力のうち、入力 1のみを使う場合でも Lレベルに固定するべきだが、実際には IC内部でプルダウンされているようだ。 面倒なら省略しても大丈夫だろう。

  6. 灰色リード線 → HSYNC? (CN1 Pin12)
  7. 白色リード線 → VSYNC? (CN1 Pin13)
    ロジックレベルの水平/垂直同期信号を供給する必要があるようだ。 検査治具用ランドへ。
    タイミング処理用と思われる IC、NMP45に接続されており、これらの端子に何も接続しない状態にしておくと、同期が取れずに 上下に流れた画面が表示される。

  8. 紫色リード線 → U/D? (CN1 Pin23)
  9. 橙色リード線 → R/L? (CN1 Pin22)
    パネルのスキャン方向反転制御端子と思われる。 上記同様検査治具用ランドに接続。
    これらの信号もタイミング処理用と思われる IC、NMP45に接続されており、この端子の L/Hレベルを切り替えると、それぞれ 上下/左右方向の反転ができる。 本来は Lレベルに固定するべきなのだろうが、IC内部でプルダウンされているようなので、面倒なら省略しても大丈夫だろう。

  10. 赤色リード線 → 5VOUT (CN1 Pin21)
    映像処理回路内部で作った 5V電源がコネクタに出ている。 検査治具用ランドに接続。
    機能選択などで、特定の端子を ロジックHに固定 (=プルアップ) したい場合に使用する。 もしプルアップすべき端子がないなら、省略してもかまわない。

  11. 黒色リード線(太) → GND (CN1 Pin19〜20ほか)
    映像処理回路に加える電源のマイナス側。 適当な検査治具用ランドがないため、電解コン C238のマイナス端子に接続。
    信号用 GNDと共通 (RGBコンバータから電源を取る場合など)になるケースが多いと思われるため、自らの消費電流が電圧降下を誘発し、ノイズの原因に ならないように気を遣っておきたい。 要は、信号の経路に沿って、太く短く・・・ それに、バックライト電源と極力共通にしない など。

  12. 黄色リード線 → SYNC追加 (CN1 該当なし)
    コンポジット映像信号から同期信号を得たい 場合に配線。 R262から Q206のエミッタにつながる途中に 検査治具用ランドがあるので、配線を割り込ませる。
    入力コネクタ CN1に出ている信号線は ロジックレベル の同期信号を供給するためか、トランジスタと抵抗による レベルシフト回路を通したものになっている。 NJW1300Aは コンポジット映像信号から同期信号を分離可能 な機能があるのだが、 このレベルシフト回路のせいで 機能が活かせない 状態だ。
    もしコンポジット映像信号からの同期分離が必要であれば、CN1の Pin7には何もつながず、レベルシフト回路の後に直接信号を注入するのが吉。

  13. 紫色リード線(細) → HSYNC OUT (CN1 該当なし)
  14. 白色リード線(細) → VSYNC OUT (CN1 該当なし)
    NJW1300A内部で生成したロジックレベルの水平/垂直同期信号が出力されている。
    NJW1300Aには、水平走査周波数の 32fH VCOによる H/Vカウントダウン回路 が内蔵されており、 車載チューナーのような質の悪い映像信号からでも 安定な同期信号が供給可能 という特長を持っている。 しかし、 ユニット内ではこれらの端子にはどこにも接続されておらず、IC内部でのクランプ程度にしか使われていないようだ。
    私の率直な感想としては、H/V SYNCを要求する端子を設けておきながら何と言うことか! というのが ホンネである。 0.65mmピッチという少々取り回しの悪い端子ではあるが、活用しない手はない と思うんですがねぇ・・・
    ということで、必要な場合は NJW1300Aの Pin62、63に細目のリード線を接続。

▲ 配線引き出し 〜その2〜[拡大写真]


  1. 黄色リード線 → SYNC (CN1 Pin7)
    ロジックレベル 同期信号供給端子。 CN1 Pin7から伸びるパターン先端のランドへ。
    RGBコンバータや LM1881Nなど、同期分離機能を持つ回路から供給される同期信号はこの端子へ入力する。 コンポジット映像信号から 同期信号を得たい場合は、この端子では信号レベルが合わないため、使用できない。 前述 項目12 の配線参照。

  2. 茶色リード線 → VR (CN1 Pin24)
    NJW1300Aの該当端子は“VCOM AMP”と記されているが、どうやら画像調整用のようだ。 CN1 Pin24から伸びるパターン先端のランドへ。
    適当な電圧をかけてやらないといけないので、GND〜5V電源間に VRを接続するのが最も簡単。 もし Aitendo製 RGBコンバーターを 使用する場合は、BRT端子に接続すればそのまま使用できる。

  3. 赤色リード線(太) → VCC (CN1 Pin5)
  4. 赤色リード線(太) → BL VCC (CN1 Pin1、2)
    何れもヒューズが目印だ。 ヒューズ直前に検査治具用ランドがあるので活用する。
    バックライト電源と映像処理回路用電源が分かれている。 できるだけ別系統で、太めのリード線で配線を引き出しておく。

  5. 黒色リード線(太) → BL GND (CN1 Pin3、4)
    バックライトインバータに加える電源のマイナス側。 適当な検査治具用ランドがないため、電解コン C102?のマイナス端子に接続。
    信号用電源マイナス側や GNDと共通にすると、自らの消費電流が電圧降下を誘発、ノイズの原因になる場合がある。 太めのリード線を使い、なるべく短く 取り回しながら単独で電源端子まで持って行くのが良い。
配線引き出しについては、とりあえず 説明の可能性があるもの全て を引き出した状態をご紹介しているが、応用パターンによって 必要な信号線は異なる ので、省略可能なものも存在している。 焦って全部引き出すと大変なので(^^; 次項目の接続例をご参照いただきたい。



2009/03/29 Yutaka Kyotani (暫定公開)
2009/04/05 Yutaka Kyotani (追記)
2009/04/12 Yutaka Kyotani (追記・正式公開)

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